令和5年1月21日(土)13:30〜16:00戸塚元雄氏 講演会「五つの小住宅」1950 年代の建築家の仕事から

2022年11月09日

支所事業のお知らせです。この講演会に関する最新情報は当ページで公開いたします。


講演会「五つの小住宅」1950 年代の建築家の仕事から

日時:2023年1月21日(土)

    13:30〜16:00(13:00開場)

講 師:戸塚元雄氏

会 場:香川大学 創造工学部(香川県高松市林町2217-20)3301講義室(3号館3階)

会場は林町キャンパスです。アクセスや駐車場は香川大学のキャンパスのご案内の林町キャンパスの項目をご確認ください。車でお越しの方は、敷地北側の正面ゲート(バス停の横)からお入りください。駐車場は、駐車スペースの枠内であれば、来客用駐車場以外の場所でも使用可能です。

定 員:100名程度、申込不要(当日先着順)

参加費:無料

主 催:日本建築学会四国支部香川支所

後 援:香川大学創造工学部

内 容: 戸塚元雄氏による講演は2時間ほどを予定。その後、会場の皆さまとの意見交換の時間を設けています。


「講座の概要」

敗戦後の10年は日本の社会が大きく変わる過渡期でした。戦前と戦後では社会の制度や価値観が全く変わりました。当然、住宅に対する考えも大きく変わりました。

この講座では現在の住宅の「発端」となった試みを振り返ってみようと思います。

《戦前の住宅は「規範」の下につくられていた》

かつての日本家屋が、どれも似たような平面と姿かたちを持ち、その結果として安定した風景が保たれていたのは、拠り所としての「規範」があったからに他なりません。規範があったとは、昔からの住宅様式が崩れずに残り、住む人にも、それを建てる人にも「家とはこういうものだ」という認識が共有されていたということです。

《規範から個性へ》

今回取り上げる住宅は全て「建築家」の設計によるものです。

では、そもそも建築家とは、いったいどういう人たちなのか。ここで取り上げる建築家の一人である増沢洵さんは、「建築家」とは「自由で独立した『人格』『個性』『独創性』を自覚し、仕事を通じてそれを発揮することができる人」、建築家たるべき人は「自分の個性を守り通す自由と力を持たなければならない」と述べています。

「規範」から「個性」へ。これは大きな変化です。

ただ、こうした動きは突然起きたのではなく準備期間がありました。1930年代のヨーロッパでは、既にモダンデザイン(国際様式)による住宅が建築家の手で相当数建てられていました。それらが海外の雑誌や留学体験を通じて日本に伝わり、日本でもほぼ同時期こうした住宅が日本の建築家によって幾つも建てられています。戦前、こうした住宅は少数の限られた人たちのものでしかありませんでしたが、敗戦によって既成の秩序が崩壊したことにより「新しい生活」、それにふさわしい「新しい住宅」への関心は一気に社会全体に広がります。

戦後住宅史を大雑把に眺めると、住宅が「規範」の下につくられた時代が終わり、住宅に個性を発揮する時代が始まり、やがてそれが多様化するという図式が描けます。

《1950年代の建築家、職能と社会的役割の自覚》

当時の若い建築家たちが直面した課題の一つは、住宅不足、建築資材・資金の不足への対処です。もう一つは、戦前とは違う「新しい暮らし方、その平面とデザイン」を探す、です。

1950年代の建築家は、個性を発揮する自由と同時に社会的役割を強く自覚していました。彼らは自分の個性と能力を使って戦後の新しいライフスタイルに見合った住宅の「プロトタイプ」を創ろうとしていました。芸術作品のような一品生産ではなく、量産につながる原型、特殊解ではなく一般解となるような製品であり作品です。そこが1950年代の住宅と1960年代以降の住宅との大きな違いです。

「五つの住宅」から、彼らの仕事の目的や意味を探り、改めて現在の課題を考える機会にできればと思います。


<取り上げる五つの住宅>

  • 斎藤助教授の家(1952年)設計・清家 清
  • コアのあるH 氏の住まい(1953年)設計・増沢 洵
  • 立体最小限住宅(1950年)設計・池辺 陽
  • 試作小住宅(1953年)設計・白井晟一
  • 栗の木のある家(1956年)設計・生田 勉


問合せ先:yysk★niji.or.jp(大西泰弘)(★を@に変更ください)

主催:一般社団法人日本建築学会四国支部香川支所